2014
08.31

精神科におけるNIRS(ニールス)検査と患者中心の医療。

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信州大学にて、安曇総合病院の鬼頭先生が前座をつとめ、群馬大学の福田教授をお招きしてのNIRS(光トポグラフィ検査)を中心とした講演会(信州うつ病フォーラム)が開催されました。

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当院の鬼頭医師は昨年まで信州大学でされていたお仕事である老年期うつ病とアルツハイマー型認知症の鑑別補助にNIRSをつかう基礎研究について発表されました。
苦労の末に論文化され国際学会でも発表されるようです。
研究の苦労話なども伺うことが出来ました。

群馬大学の福田教授はNIRSの実用化に向けた実践の第一人者であるとともに、生活臨床や当事者主体の最近のムーブメントのなかでも中心となって活躍されている先生です。
これまで先進医療(つまりは治験)としてしか使えなかったNIRSも、関係者の努力の甲斐があって安いですが保険収載されました。
日本初のNIRSはfMRI同様のリアルタイムな脳機能を画像化できる検査ですが、時間分解能に優れた簡便な検査であり今後の臨床応用が期待されています。
NIRSの基礎から臨床における位置づけ、精神科にも他科のように当事者とともに検討することの出来る明確なバイオマーカーができることで日常臨床がどのように代わるかというお話をされていました。

身体医療が検査漬けの反省から問診などが見直されれている一方で、精神医療では検査がもとめられているのが面白く感じられました。いづれにしても丁寧な問診や精神療法の大切さには変わりはありません。
安易に検査結果に頼った自動販売機のような医療になる危惧はないではありませんが、コミュニケーションツールとして新しい可能性が広がりそうです。
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2014
08.31

本気で5アンペア: 電気の自産自消

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東日本大震災の時に福島にいて原発事故などを取材した新聞記者の著者。
電気に頼った生活のアンチテーゼとして隠された5A契約(完全従量)での生活を始めます。
それは500W以上は使えない生活。
エアコンやトースター、ドライヤーなどは使えません。

電気製品を見直しリストラをおこないます。
それは生活全体の見直しにもつながりました。
様々な工夫。ミニマムな生活。

ただそれは決して悲惨なものではありません。
そして太陽電池をもちいた自給自足にも挑戦していきます。

本人も述べていますがが突っ込みどころは有ります。
それでもいろいろと刺激をうける本だとおもいます。

人口減少で省エネとなってきているのですから、今までのような電力供給は不要です。
リニアモーターカーなどもっての外とおもいます・・。

工夫を楽しみ皆でアンプラグしましょうよというすすめに思えました。


本気で5アンペア: 電気の自産自消本気で5アンペア: 電気の自産自消
(2014/03/05)
斎藤 健一郎

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2014
08.10

脳に棲む魔物

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この本はニューヨーク・ポストのジャーナリストであったスザンナ・キャラハンを突然、不眠、幻聴や妄想が襲い回復するまでの記録である。本人の体験と家族の残した記録、医師へのインタビューなどからノンフィクションとしてまとめあげられている。翻訳は専門用語などに不満はのこるが、興味深く読ませてもらった。

 前半の時系列で追った丁寧な記述は精神病になるとはこのような恐怖かというのがよく描かれており芥川龍之介の「歯車」を彷彿させるスリリングな内容である。何故かトコジラミが気になりだし、手がしびれ、インタビューができず記事がかけなくなったり、時に妄想的となり、誇大的となるなど感情が不安定になったりといった自分の立ち位置がわからなくなるような症状に約一ヶ月間苦しむ。神経内科や精神科のオフィスをまわされるが、ウィルス感染、アルコール依存症やノイローゼ、双極性障害などだとといわれ正体がつかめない。


脳に棲む魔物脳に棲む魔物
(2014/06/26)
スザンナ・キャハラン、澁谷 正子 他

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 そして痙攣発作がおこりERに駆け込まれるが入院は出来ず、実家で療養するが病院に連れて行こうとする車から飛び降りようとするなど家族も大変な思いをする。そしてやっと入院した病院で複数の医師の診察をうけ、脳生検までうけて自己免疫性脳炎、それも当時ダルマー医師らにより疾患概念が確立しつつあった抗NMDA受容体脳炎であるとわかる。この疾患は腫瘍随伴性の脳炎であり50%にみつかるという卵巣奇形腫はスザンナにはみつからなかったが、28日間の入院中に血漿交換やステロイドパルス、IVIg療法などをうけ退院。外来や在宅でも引き続き治療をうける。そして認知機能や精神病症状は徐々に改善し、もとの職に復帰できるまでになった。スザンナがまとめたこの病気の体験についてのニューヨーク・ポストの記事は多くの人の目にとまりこの病気を啓蒙する役割を果たす。

 ちょうど同時期に、私も当時明らかになりはじめたこの病気を疑い格闘した患者さんがおり、学会などでも発表した経験があったので面白く読めた。神経内科や精神科のオフィスに予約をとってたらい回しされたり、入院中も実に多くの医師やスタッフが関わったり、入院期間も最低限であるのに治療全体で100万ドルもかかったりといったアメリカの医療事情も興味深かった。

 この病気も広く知られるようになったものの未だに気付かれずに精神病として扱われて不幸な経過をたどっているケースも多いと思われる。またNMDA受容体の機能低下は統合失調症や自閉症などの精神疾患とも深く関わっており、精神疾患の生物的基盤の解明にもこの疾患の病態解明はマイルストーンとなるのではないか。特に今後、統合失調症とされている患者の一部に抗NMDA受容体脳炎のように自己免疫の機序でおこっているものも明らかになってくるのではないかということを予感させられた。

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