2016
01.23

「こころの病とは?」、精神医療はどうあるべきか?

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平成28年1月22日 大町市福祉センターでの学習会の講義のまとめです

精神疾患・障害とは?


医療である精神科では外因性→内因性→心因性の順番に考えるのが原則。

   ・外因性 (身体疾患や脳の器質的な異常:脳腫瘍、内分泌疾患、脳炎など)  
   ・内因性 (器質的な異常も想定されるが原因は未解明:統合失調症、躁うつ病など)
   ・心因性 (心理的反応の延長で理解可能:適応障害、心因反応など)
      
このなかで統合失調症、気分障害などの内因性精神疾患が精神科の中心領域。

精神障害は見えない障害ゆえに「なまけている」などと思われ本人の苦しみが理解されにくい。
「精神疾患などないのだ。精神医療が諸悪の根源」というような人もいて苦しみは倍増。

代表的な精神疾患。

 ・高次脳機能の障害(記憶、注意、遂行機能、言語・)(脳外傷、低酸素脳症、認知症等)
 ・気分(感情)の障害 (うつ病、双極性障害、気分変調症等)
 ・依存症(物質、プロセス、関係) (アルコール依存症、ギャンブル依存症、摂食障害等)
 ・発達障害(知能、社会性、衝動性)(知的障害、自閉スペクトラム症、注意欠陥多動症等)
 ・心理的ハンディキャップ(情緒障害、愛着障害等)
 ・思考のまとまり(統合)の障害(統合失調症、妄想障害等)
 ・対人関係のパターン(パーソナリティ)など

あらゆる精神疾患に共通なこと。

 感情や思考のコントロールの喪失、優先順位が狂う、選択肢が見えなくなる。
  →拒絶や攻撃など、支援を受けること自体に支援が必要な状態。(ここに専門性)

 人間関係の障害(特にコミュニケーション)、生活障害(日常生活をうまくまわせない)。
  →つながりが断ち切られる。社会から排除され、居場所を失う。(悪循環)
    
 ひきこもり、自死や他害に至る。
 この悪循環を逆に回して良い循環にしていくことがすなわち治療でもある。

その人を疾患、障害、人生の3つの視点から見つつそれぞれにアプローチをする。このバランスが大切。
それぞれが得意な専門職がいる。

◯疾患(病気):
  病因論から見ていく。プロブレム(問題点)をあげ、治療介入していく。
  薬物療法による治療、mECT等 
  (医師、看護師、薬剤師、栄養士等)
◯障害
  本人の機能障害、周囲の環境による活動、社会への参加などが複合的に関連。 
  環境調整、代償方略、リハビリテーション、SSTなど
  ゴールを設定しリハビリテーションを行う。
  (作業療法士、言語聴覚士、看護師等)
◯人生
  本人の価値観、希望、どのような物語をいきて来たか、生きていくのか。
  リカバリー志向の関わり。
  必要な支援をおこなっていく。
 (PSW、臨床心理士等)

社会装置としての精神医療  

医療は福祉の一部、福祉の土台がない医療は無力であり無意味。

精神科に相談すべきタイミング
社会から孤立し死にたくなった時、うまく眠れない時、自分の思考や行動がコントロールできなくなった時、家族や周囲の人がそのような状態の時

「溜め」の少なくなった人の最後の駆け込み寺 (セーフティーネット)
少なくとも一緒に考えてくれる人をまず一人得ることができるはず。

切迫する希死念慮、幻覚妄想状態、躁状態やうつ状態などの場合、精神保健福祉法にのっとり精神保健指定医の診察にもとづき非自発的入院もありうる。
  (医療保護入院、措置入院、医療観察法入院)→人権の一時的な制限も 

有限な医療福祉資源の分配(トリアージ)→誰に支援が必要かを誰が決める?

診断書や精神保健福祉手帳、いわゆる障害者手帳・・。障害年金など・・。
成年後見人など判断能力の判断。
復職など就労能力の判断。

診断(診たて)をもとに多職種、多職域チームで関わり、応援団をつくり、自立とリカバリーを支援する。様々な学問分野、制度、手段、ネットワークを総動員。パスを回す。

当事者のもつ力(ピア・サポート、自助グループ)を引き出し、利用する。

  アルコール依存症(断酒会・AA)や薬物依存症(DARCなど)のセルフヘルプグループ
  最近は摂食障害や統合失調症などでも・・。 
  ひきこもりの子をもつ親の会、発達障害とか精神障害の家族会など・・
  
    さまざまな会をつくったり維持することを専門職としてサポートする
     (サポーテッドピアサポート)

・自立とは?・・スキルを増やすこと、依存先を増やすこと
・リカバリー志向とは?・・病や障害などで失ったものを回復する(人生をとりもどす)こと。
     それに振り回されない。それも含めて自分だと思う。
・物語(ナラティブ)の書き換え・・過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる。
         
        生活の力。人薬(仲間)と時薬。人は人によって傷つき人によって癒される。

個人に対するアプローチ

薬物療法:自助具としてのお薬
精神療法:対話を続ける、物語の書き換え、共同研究方式
リハビリテーション:スキルの獲得、居場所の再獲得

◯まず、つきあうこと。とことんつきあうこと。・・共揺れすることも時に必要。
 大変なケースに一人で関わらない。距離をとるのではなくチームでかかわる。

◯どういう「まなざし」で接するか?
   侵襲的になってはいけない。強み(ストレングス)を活かす。回復を信じて伴走する。
   支援者が限界を決めない。考え、価値観を押し付けない。
 
◯認知・行動・スキルにこだわる 
   生活習慣を整える、対人関係のパターンなど。研究し、練習する。
     (行動分析、認知行動療法、SST(Social Skills Training)

◯本人と本人を取り巻く構造(システム)を分析し、チームで有効な介入を行う。
   多問題のケース。対話を促す。
     (家族療法、対人関係療法、環境調整など)

◯関係者の対話の場を設定し、対話をつづける
   オープンダイアログ(開かれた対話)、結論をあらかじめ決めない、体験を共有。

治療、支援の場面  
・ 訪問(アウトリーチ)・・・体験を共有。関係づくり、生活相談、支援
・ 通院・外来治療(よろず相談+自分の全てを総動員、つきあう。)
・ ディケア、就労支援 (仲間づくり、練習、居場所や役割、リハビリテーション)
・ 入院治療 (一時的な保護、集中的な治療、良質な休養、取り巻く構造の変化)

※フットワーク、チームワーク、ネットワーク

社会に対するアプローチ
 

 目立つ、声の大きい人だけに関わらない。支援をうまく得られないまま自死する人もいる。
  潜在的なニーズ(気付かず型、我慢型)にも目を向ける

  偏見をなくすために、理解と支援を広める、居場所づくり、運動論的展開
    他者の権利を侵害しないかぎり、多様な価値観を認める。
   
    全員参加型の社会。(活躍しなくてもいい)
    弱いつながり(ウィークタイズ)を大切に
  
  生存権、幸福追求権の保障、弱者が声をあげられる条件を整える。
         当事者と専門家、行政の協働

      地域に多様な支援体制、居場所と出番を(医、職、住、遊、友・・)
     弱さを絆に地域をつむぐ。
  
 「あなたは大切な人で生きている価値がある」というメッセージのあふれる世の中に・・。
  苦しい時に苦しいと声をあげられる社会に。その声を拾える社会に・・・。
  ひとりでしない、ひとりにしない。



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2016
01.10

「ぷれジョブいけだ」 講演会

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インサイト


あづみ病院のある池田町でぷれジョブ活動をしている「ぷれジョブいけだ」主催の講演会がありました。

タイトルは「自閉スペクトラム症・発達障がいの人たちの「働く」について考える」

 障がい支援事業所や障害者雇用のコンサルティングとマッチングをおこなっている(株)インサイトの関原深さんのお話でしたが、とても良かったです。

 スーパーアスペルガーは研究職や職人等クリエィティブな分野などで活躍してもらうとして、高機能群、知的障害を伴う群など、それぞれに特性に合わせた仕事を、周囲が限界を決めず、適切な目標設定で、高付加価値領域を目指すというのが基本のようです。
実例も多くプラクティカルでなんだか前向き、特性を面白がり、上から目線でないのがいいですね。

特性を活かすために仕事のプロセスを切り分け、ルチーンづくりを手伝い、仕事をトスする。
指示はポストイットで、OKなら「ありがとう」くらいのシンプルなやり方で上手く行ったケースなど。

職場としては人格ではなく事象に注目し、考え方や価値観ではなく行動を変えてもらうことがポイントのようです。
たくさんある福祉事業所を企画力と支援力で応援し付加価値を高める。

当事者の側としては、その人のキャラなりに愛されて教えてもらい続ける可愛げ、愛嬌をどのように獲得するかですかね。
グローバル競争でローコストがバリューというところはなくなりはしないでしょうが、自閉スペクトラム向きの安心・安全・丁寧といった仕事はまた国内に戻ってくるのではないか?とおっしゃっていました。

障害者をあえて自立させないパラドックスからの脱却を目指す障害者支援の分野は広い意味でのワークシェアリングで、いろんな可能性があり、クリエイティブな分野だと思いました。
悪徳事業所がビジネスとして参入し、制度や障害者を喰い物にし、クリームスキミングを行うことで悪貨が良貨を駆逐してしまうという心配はありますが・・。
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