2016
02.06

強度行動障害をともなう自閉症の方の長期入院について

Category: 未分類
強度行動障害をともなう重度の自閉症の、BPSDの激しい認知症の方、症状や生活障害の重度の治療抵抗性の統合失調症の方など現在の福祉制度で支えきれない方が精神科病院に流れ着き、適切で十分な支援が受けられないまま長期に渡り入院し医療現場を圧迫している現状があります。

認知症は進行性の疾患ですから数年と期間も限られ、体力も弱ってきており、また理解も広まり、地域の資源も増えてきており世論と政策の力を感じています。重度の統合失調症の方では同様の問題はありますが、クロザリルなど有効な治療薬も使えるようになり、ACT(Assertive Community Treatment)のようなの動きもでてきています。

一方で、最近、強度行動障害をともなう重度の自閉症の方が入院して、病院では居場所の提供以上のことはできないのですが長期間にわたり保護室などから動けず診療機能の低下をきたすということが増えています。
自閉症者、特に重度の自閉症者は少数ですがその支援は長期にわたって必要であり、他の障害とくらべても支援体制の構築は遅れているように感じています。

自閉症の方の場合、体は大きく行動は激しくなりますが、例えば10歳で1歳、20歳で2歳程度の知能、 社会性、衝動性がずっと続くとイメージしていただければ大変さが想像できるかもしれません。
激しいパニックを繰り返し、窓から飛び降りるなどの自傷や、つきまとったり、殴るなどの他害があったりします。
体も大きく力も強いので大変です。

このような状況ですが、契約中心の自立支援法の制度をめいいっぱい使っても在宅での生活は困難で地域のリソースも限られ、家族のがんばりに相当頼っており、行政による措置は虐待事例が発生するまでありません。

自閉症向きのハードウェアをそなえたショートスティ施設、マンツーマンに近い支援体制があれば重度の方でも家族と地域で暮らせるはずなのですが・・。地域での実務の大半は施設や地域の生活支援員が中心で、強度行動障害支援者養成指導者研修などもありますが質、量ともにまったく足りておりません。

政策的に今後は大規模な施設は作らない方針のようであり、自閉症者の施設でも予算もまわらず人もおらず、疲弊しており、重度の方が地域で困った際には社会資源が他にないとどうしても入院といった形態をとらざるを得ません。
しかし自閉症者向きでないハードとソフト(後述)の精神科医療機関では当事者のためにもならない上に、診療を圧迫し診療機能の低下を招いています。
また長期の入院をみとめない医療制度の中で病院経営を圧迫しています。

自閉症の行動障害に対して医師ができることは、実はあまりなく、少々の投薬と家族や支援員のバックアップくらいです。
精神医療現場は強度行動障害における支援には不向きな環境と思います。
まず静かな個室も少なく空間の構造化の不十分な精神科病院は自閉症の方にとって混乱も多く、入退院も多くドタバタとした急性期病棟ではきまった時間に散歩をするなどの時間の構造化も難しいです。

行政にも責任をもって動いていただきたいところですが、県立こころのケアセンター駒ヶ根や独立行政法人小諸高原病院などの公立病院もあたっておりますが、すでに同様の方が複数いたり、個室が少ないなどの理由でなかなか受け入れてもらえません。

療育の失敗のように言う方もおりますが、私はそれに加え、特別支援学校をでてからの支援の圧倒的な乏しさも課題なのではないかと感じています。

具体的な事例についてはたくさんあげることができますが、まずは地域の福祉および医療現場での苦境を多くの方に知っていただき、予算措置や法整備など政策的な支援を増やしていくことが必要なのではないかと考えています。

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